スパッド VII
1915年、イスパノスイザ社の主任設計者マルク・ビルキクトはロータリー式エンジンは
進歩の限界に達すると予測し、水冷式V型8気筒エンジンを開発した。
1912年から13年にかけてドペルデュサン単葉機を設計したルイ・ベシュロは、
この型のエンジンを使いスパッドVを設計。その発展型がスパッドVIIである。
1916年4月に行われたテスト飛行ではフランス軍当局に強い印象を与え、
直ちに268機の注文が出された。
スパッドVIIを配備したのはフランスだけに留まらず、イギリス、ベルギー、ロシア、
イタリア、アメリカといった各連合国に渡ることからも、
第一次大戦を代表する戦闘機の一つと言えるでしょう。
さて、スペシャルホビーのキットですが、作りやすいとは言えませんが、良いキットだと思います。
以下、3年前から手を付けていた代物だけに忘れている部分もありますが、今回の製作記です。
まずはこのキットの大きな不満部分、二点。
一つは胴体左側面、コクピット下から胴体下面にあるモールドは、
カメラ搭載タイプの物で一般的とは言えない物になっていること。
この部分はモールドをパテ埋めし、リブ表現を再現しました。
二点目は機首カウリング上面、イスパノスイザエンジン搭載機の特徴的な左右のバルジ部分。
ここには小さな通気口が並ぶのですが、キットでは大きめの穴が数個あるだけで、精密感に欠けます。
この部分はレジンパーツを使用しているだけに、
もっと繊細なモールドで出来なかったものかと残念に感じます。
この小さな穴をどうするか悩みましたが、キットのモールドを埋め、
自作デカールで再現しました(会社のCADで原紙を作成)。
ヴィッカース機銃はPartのエッチングを使用。機首、アゴの部分に付く
オイルクーラーはアルミ板から切り出し、精密ドライバーでモールドを打ち出しました。
マーキングは派手な鶏と可愛らしい女性のイラストが素敵な、
SPA48所属のジャック・ラファエル・ロクエス伍長(Corporal Jacques Raphael Roques)を選択。
Aero Masterを使用しました。
製作途中の画像。
エンジン部分のパネルを取り外した状態で作るため、エンジン下部と架台を製作。
最初は金網付きパネルだと思い込んでいたため、開口部が小さく、モールドの追加工作などをやっていた。
デカールによるバルジ部通気口のテスト。
これをガイドとして、ドリルで穴を開けることも考えていた。
胴体の塗装も終わり、でっち上げエンジン部を組み込んだ状態。
参考資料
AVIATIK VINTAGE AIRCRAFT No.1 "Spad VII C.1"
OSPREY AIRCRAFT OF THE ACES・39 "SPAD VII Aces of World War 1"
Air Age Publishig "Scale Aircraft Drawings"
小学館 万有ガイドシリーズ2「航空機/第一次大戦まで」
鶴書房「第1次大戦戦闘機」
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